「動物愛護法改正に向けて」をテーマにしたセミナーに参加して、そもそも法律は人権を守るために定めるもので、動物愛護法も視点は同じだということを改めて認識する機会となった。改正が繰り返され、現在は動物福祉の条項などが含まれて、かなり動物よりの法律になって来ているものの、動物のためという観点では、法律になりにくいのが現状らしい。
私が個人的に注視している「8週齢規制」生後56日に満たない仔犬仔猫の販売を禁止するという法案は、この度の国会で改正は難しいのではないかという見解を講師の島先生はおっしゃっていた。現在定められている7週齢(生後49日未満の仔犬仔猫の販売禁止)と8週齢で親元を離れた仔たちの人間に与える影響の違いが明確ではなく、親兄弟と犬や猫としての社会化が十分ではなかった仔が、その後「問題行動」と言われるが行動が見られることが多いことは、麻布大学でも研究が進められているにも関わらず、その文献が提出されたとしても決定的ではなものにはならない可能性が高いそうだ。
25年前、NYに滞在していた頃、帰国したら犬を迎えようと決めていたので、欧米のペットショップをせっせと巡っていた。その時に店頭で生体を見たのは、アメリカ西海岸の小さな町で6ヶ月くらいの仔犬1頭だけだった。実際に欧米のペットショップ事情を見て来た私は、20年程前に展示販売が無くなることを目指して、ブリーダーと仔犬を探している方の仲介を始めたが、結果的には私がその事業を辞めて、展示販売は今も続いている。せめて幼齢期の展示販売をなくすには、法律で定めてもらうしかないと思っていたので、改正を切に願っていたが、今回も難しいのか。
しかし、この度参加したセミナーでの収穫は、法改正は難しくても、自治体の条例で定めることは、それ程難しいことではないと教えてもらえたことだ。実際に、札幌市は2016年に条例で8週齢規制を定めている。
法律の壁で、自治体の条例を定めることも容易ではないようだが、「ペットの殺処分ゼロ」を公約に掲げている小池百合子東京都知事が現役の間に、影響力のある東京都の条例改正に声をあげて行くことは有効だ。